毎日のように電車に乗っているが、いいことはない。
むしろつり革がにゅるにゅるだったり
レン&スティンピーよろしく
おっさんの耳毛をドアップで見てしまったり
とにかくロクなことがない。
しかし先日こんなことがあった。
駅の改札付近で
「あぁ、もっとお金ほしいな〜」などと考えて歩いてたら
後ろから、つーーーーっと100円玉が転がってきて
目の前でピタッっと止まった。
「あ……もしかして…」
「…………神様…ありがとう…」
僕はそっと拾い上げ、財布に入れた。
演技派である。瞬時に
〈あ〜もうダメかな?また小銭が落ちたわ、そろそろ新しい財布買おっかな?〉
って設定の顔をした。
誰も気がついていない、みんな急いでいるのだ。
駅を出ると少し日差しが暖かかった。
空を見上げると
子犬のような形をした雲が
こっちを見て笑っていた。